部下との面談で給料について相談されたら。回答に失敗して退職されないようにするには。

私がまだ未熟なリーダーの時、担当の部下(新卒)から面談の時の失敗例です。
 
部下:「他の部署の同期は残業代が付くのに、なぜ僕の職種はつかないんですか」「不公平だと思います」
 
 
私:「給料の前に、自分が実際どのくらいの仕事が出来ているのかとか、周りの先輩の業務レベルまでどうやって成長していけばいいのかとか、考えなくちゃいけない課題があるんじゃないかな?」
 
部下:「自分の業務がどうこうってことより、同じ新卒で入った同期のハズなのに、同じ時間残業しても給料が違うっておかしいじゃないですか」
 
私:「いや・・・そうね、たしかに私達の職種は残業代がつかないよね。私達の職種はお客さんとの折衝や社内調整など成果物にならない部分が多いから、制作部門のように作業した分だけ成果物が残らないっていうのもあってね、、、」
 
部下:「全然納得いきません」
 
その時。。。
 
冷静に、冷静に、話をしようと思っていた私の中で感情が弾け、怒りの感情が芽生えました
 
 
私:「あのね、新卒なんて雇ってるだけで赤字なの。早く一人前に仕事して、会社に貢献出来るようになってから給料のこと相談して
 
って怒鳴ってしまいました。
 
まだまだ出来ることが少なく、普段の業務レベルの向上が必要だとこちらは新卒くんに思っていたので、てっきり業務の話か今後のステップアップの方法などの相談が来るかと思いきや給料の話。
 
結局リーダーらしくと自分が思っていた振る舞いはできず、業務についてもアドバイスできずで終わってしまった残念な面談でした。
 
これは例ですが、リーダーになった途端に、チームメンバーから日々いろいろな相談が上がってくるようになります
 
また、人を評価しなくてはならない面談なんて、慣れない事もしなくてはなりません。
 
私のように間違った回答をして最悪部下が退職ということにならないように、今回の給料の相談を例にして、リーダーとしてあるべき対応をまとめてみたので、参考にしてみてください。

なぜ部下への回答が間違った方向に向かってしまったのか

 
面談ではどんな相談をうけるかはわからないものの私には2つの思いが合ったように思います。
 
質問されたことには基本的に「全部答えられないといけない」
 →リーダーとして信頼されたい
 
面談を機会に相手の成長を促す事を伝えたい
 →チーム力を高めるため、自分の日々の業務負荷を下げるため
 
そんな思いのところに、自分の想定外の質問「給料体系」について質問が来て、一気に混乱し、早くこの話題を終わらせたいと思い
 
「残業代が出なくても仕方がないでしょ」
 
というその場しのぎの解を相手に押し付けて、納得させようとしていまいました
 
 
給料が安い、残業代が出ない
 
 
のは、会社の規則、会社と個人との契約上で取り決まっていることであって
自分との面談で解決できる内容ではなかったのです。
 

上司は部下の給料を把握する必要があるか

会社によりますが、新しいメンバーの採用面談など人事部分のマネジメントも任される様なポジションであれば、部下の給料を把握している事が多いと思いますが、チームリーダーや、その他プロジェクトオーナーなどの役職の場合は、部下やチームメンバーの給料を把握していない事もあります。
 
メンバーの採用面談を任される立場の上司であれば、正社員、契約社員、派遣社員など、部下の契約形態の違いや、それぞれの人的リソースにかかる費用について把握する必要があるので、部下の給料を把握する権利があります。
(中途採用者の場合、上司である自分より部下の給料が高く、凹む場合もありますが・・・)
 
もし部下の給与詳細までは不明(会社から開示してもらえない)だった場合でも、自分が所属する会社の給料体系がどうなっているかはイチ社員としても、上司としても把握し、説明出来るようになっていたほうがいいと、今回の一件で思いました。
 

「課題の分離」が出来れば給料の不満へ適切な回答ができたかも

 
近年話題のアドラー心理学の考え方で「課題の分離」というものがあります。
 
課題の分離とは

相手との関係において、相手の課題なのか、自分の課題なのかを明確にし、踏み込まない、踏み込ませないこと (引用;人生が大きく変わる「アドラー心理学入門」岩井俊憲

 
 
つまり今回の内容でいうと
  • 給与体系についてはリーダーの課題ではない(人事の課題)
  • 給与体系が不公平だと考えるのは相手(部下)の課題
であって、リーダーが何か介入することは基本的に不要です。
こうやって冷静に誰が主軸となって考えると、冷静に対応できたでしょう。
 
もし、今回の部分で自分の課題とするならば
 
  • 給与体系に関わらずチームメンバーのモチベーションを高める(自分の課題)
 
でしょうか。
 
また、最初に例に上げた「新卒のくせに」という表現はアドラーの考え方でいうと
「勇気をくじく」表現にあたり、
 
部下にもっと成長してほしい、もっと自主的に行動してほしい
 
というような思いとは裏腹に、相手のモチベーションを下げて、最悪退職という展開を招いてしまう可能性が高いNGワードです
 
※アドラーの勇気づけ、勇気を挫くコミュニケーション方法についてはまた別の機会にふれたいと思います。
 

面談をうまく進めるには準備が不可欠

このような自分の課題以外の質問が出てしまったことは面談への準備不足も原因と感じます。
 
面談相手の新卒くんから、どんな質問が出るかな?と予測して答えを準備しておくという考えは合ったものの、そもそも新卒君は面談で何を質問すれば、何を相談すればいいのかなんてわからなかったと思います。(学生時代の面談って進路相談のときくらいだと思うので)

面談の準備は両者でやろう

面談の準備は上司だけがやるものではなく、部下にも準備してもらい、せっかくの面談の機会を効果的に使えるようにしてみてください。
 
1.面談の目的を伝える
 例)これまでの業務を振り返り、次期の目標を一緒に決める
 
2.面談相手へ目的達成のための準備をしてきてもらう
 例)自己評価、次期の目標を考えてきてもらう
 
3.面談する側も同様に準備する
 例)相手の評価(実際の業務やエピソードも踏まえ)、目標の方向性
 
4.当日は聴くことを中心にする
 ※こちらの意見が正しいと思って準備してきた内容や、目標を強制するのはNG
 ※あくまで相手の話を聴いて、目標を一緒に決めるスタンスで望む
 
その他、面談前にリーダーが必ず用意しなくてはならないのは、会社や部門のビジョン、目標などをきちんと理解しておく、それに対する自分の意見を持っておくということかなと思います。
 
特に新卒の部下や経験の浅い部下へは会社のビジョンをそのまま伝えるだけでは、目の前の業務と結びつかないことがあるので、そこは噛み砕いて説明できるようにしておきましょう。
 
実はこれが一番大変かもしれないなと思います。
 
ビジョンが明確になってない場合や、自分でも理解出来ていないかも、感覚で頑張ってきたかもと思う場合は、事前に自分の上司に確認し、部下に説明できるようになっておきましょう。
 

給料の不満は早めに解決

 
とはいえ、どんなに準備して、面談を進めようとも、給料の話は基本的に出てくると思って面談に臨んだ方が良いと思います。
 
また、給料に関する不満は早めに解決してあげる、もしくは解決出来る方法を一緒に探れるようにした方が良いでしょう。
 
転職サイトDODAが調査した転職理由のトップ10を参考にすると、3位に「給与に不満がある」、7位に「会社の評価方法に不満がある」という結果が出ています。
 
つまり放っておくと、急に退職願いが提出されているという自体にもなりかねません。
 
部下から給与について不満を言われた場合、
評価方法(給与体系)によるものなのか
やっている業務内容に対して見合わないと感じているのか
確認し、課題がどこにあるのか見つけて適切な対応を、心がけたいものです。
 
不満が小さいうちに解決してあげる事で優秀な人材の流出を止める事も出来るでしょう。

まとめ

真面目なリーダー初心者さんによくあるのは、頑張りすぎて、全部自分で解決しようとしてしまうことだと思います。
特にリーダーのような中間管理職はプレイヤーとして業務をこなしながら、他のメンバーを見るという忙しいポジションなので、業務が立て込んでいるときなどは特に精神的に余裕が無くなります
忙しい時の部下の相談自体イライラしてしまうことも多いですが、なんとか冷静に対応したいもの。
 
もし、近々面談があるようであれば、「課題の分離」「面談の準備」を参考にしていただき、もし「給与体系について正しく理解しているか」不安であれば確認し、部下との面談に臨んでみてください。